数と遊びしくみ
大人数のじゃんけんは、なぜなかなか決まらないのか
2人ならすぐ決まるじゃんけんが、大人数だとあいこばかり続く理由を、出し方を並べる図と、何回も試す図で確かめます。勝負がつく確率と、決まるまでの平均の回数を数えます。
2人でじゃんけんをすると、たいてい1回か2回で決まります。ところが、クラス全員でじゃんけんをすると、「あいこでしょ」が何回も続きます。
人数が増えると、なぜ決まりにくくなるのか。出し方を全部並べて数えます。
じゃんけんに勝つ方法の話ではありません。この記事では、全員がグー・チョキ・パーを同じ確率(1/3 ずつ)で、ほかの人と関係なく出すとします。どの手を出しても、勝ちやすさは同じです。
2人なら、3回に2回は1回で決まる
図1 さわって動かせます
この図は、JavaScript を使って動きます。下の説明でも要点が分かるように書いています。
2人の出し方は、A さんの3通りと B さんの3通りをかけた9通りです。そのうち、2人が同じ手を出す3通りがあいこで、残りの6通りは勝負がつきます。3人の出し方は27通りで、勝負がつくのは18通りです。4人以上にすると、1回ずつ手を出します。出た手が2種類のときだけ勝負がつき、1種類か3種類ならあいこです。人数を増やすと、出た手が2種類になる割合が下がります。10人では、2種類になるのは 5.2% だけです。
2人のじゃんけんで、手の出し方を全部並べます。A さんの手が3通り、B さんの手も3通りなので、出し方は 3 × 3 = 9通りです。
- 2人が同じ手を出す:グーとグー、チョキとチョキ、パーとパーの3通り。あいこです
- 2人が違う手を出す:残りの6通り。どれも、どちらかが勝ちます
手の出し方は、どれも同じ確率で起きます。だから、1回で勝負がつく確率は 6/9 = 2/3 です。じゃんけんを3回始めれば、そのうち2回は1回目で決まる計算です。
図1の人数を3人にすると、出し方は 3 × 3 × 3 = 27通りになります。勝負がつくのは、そのうち18通りです。確率は 18/27 = 2/3 で、2人のときと同じです。
勝負がつくのは、出た手がちょうど2種類のときだけ
3人の出し方を見ると、あいこには2つの形があります。
- 全員が同じ手(1種類):グー・グー・グーのような3通り
- 3種類がそろう:グー・チョキ・パーが1人ずつの6通り
1種類のときは、誰も誰にも勝ちません。3種類がそろうと、グーはチョキに勝ちますが、パーに負けます。チョキもパーも同じで、どの手も、勝つ相手と負ける相手が1つずつあります。全員に勝つ手が無いので、勝ちが決まりません。
出た手がちょうど2種類のときだけ、片方の手がもう片方に勝ちます。愛知県総合教育センターの教材も、n 人で1回じゃんけんをして勝負がつくのは、出す手がちょうど2種類になるときだとしています。
図1で人数を4人以上にして、「100回出す」を押してみてください。出た手の種類の数を数えた棒が伸びます。人数を増やすほど、3種類がそろう棒が長くなり、2種類の棒が短くなります。
人数が増えると、「2種類だけ」になりにくい
勝負がつく出し方を、n 人で数えます。
- 出る2種類の手を選ぶ:グーとチョキ、チョキとパー、パーとグーの3通り
- n 人がそれぞれ、その2種類のどちらかを出す:2 × 2 × … × 2 = 2ⁿ 通り
- そのうち、全員が同じ手になる2通りは、1種類なので除く:2ⁿ − 2 通り
勝負がつく出し方は、3 × (2ⁿ − 2) 通りです。全部の出し方は 3ⁿ 通りです。1回で勝負がつく確率 p は、
p = 3 × (2ⁿ − 2) ÷ 3ⁿ
です。愛知県総合教育センターの教材にも、同じ式(約分した形の (2ⁿ − 2)/3ⁿ⁻¹)があります。
図2 さわって動かせます
この図は、JavaScript を使って動きます。下の説明でも要点が分かるように書いています。
人数ごとに、全部の出し方 3ⁿ と、勝負がつく出し方 3×(2ⁿ−2) を並べました。縦の目盛りは、1目盛りで10倍です。1人増えるごとに、全部の出し方は3倍に増えます。勝負がつく出し方は、人数が多いと2倍ほどにしか増えません。そのため2本の線の間が開き、1回で勝負がつく確率 p は下がります。p は、2人と3人で 0.667、5人で 0.370、8人で 0.116、10人で 0.052 です。
1人増えると、その人の手の分だけ、全部の出し方は3倍になります。勝負がつく出し方は、出る2種類が決まっていれば、その人の手の分だけ2倍になります。式で見ると 3 × (2ⁿ − 2) で、人数が多いほど、1人増えたときの増え方は2倍に近づきます。人数が増えるたびに、分母の 3ⁿ のほうが速く大きくなります。
| 人数 | 全部の出し方 3ⁿ | 勝負がつく出し方 3×(2ⁿ−2) | 1回で勝負がつく確率 p |
|---|---|---|---|
| 2 | 9 | 6 | 0.667 |
| 3 | 27 | 18 | 0.667 |
| 5 | 243 | 90 | 0.370 |
| 8 | 6,561 | 762 | 0.116 |
| 10 | 59,049 | 3,066 | 0.052 |
10人では、1回であいこになる確率が約 95% です。愛知県総合教育センターの教材も、10人であいこになる確率を 18661/19683(94.8%)としています。
2人と3人で p が同じ 2/3 になるのは、式に入れると分かります。2人は 3 × 2 ÷ 9、3人は 3 × 6 ÷ 27 で、どちらも 2/3 です。
3人目の C さんが加わると、全部の出し方は 9通りから 27通りへ3倍になります。勝負がつく出し方も、6通りから18通りへ3倍になります。
- A さんと B さんで勝負がついていた6通り:C さんがその2種類のどちらかを出せば、勝負がつきます(6 × 2 = 12通り)
- A さんと B さんがあいこだった3通り:C さんが違う手を出せば、勝負がつきます(3 × 2 = 6通り)。たとえば2人がグーなら、C さんはチョキかパーです
合わせて18通りです。
決まるまでに何回かかるか:平均は 1/p 回
あいこになったら、同じ人数でもう一度出します。1回ごとの手は、前の回と関係なく出すとします。数学A で習う「独立な試行」です。
1回で勝負がつく確率を p とすると、ちょうど k 回目で初めて勝負がつく確率は、あいこが k − 1 回続いたあとに勝負がつく確率です。
(1 − p) × (1 − p) × … × (1 − p) × p = (1 − p)ᵏ⁻¹ × p
かかる回数の平均(期待値)は、回数にその確率をかけて全部足したものです。足すと 1/p になります。愛知県総合教育センターの教材に、この足し算の手順があります。
図3 さわって動かせます
この図は、JavaScript を使って動きます。下の説明でも要点が分かるように書いています。
勝負がつくまで、同じ人数でじゃんけんをくり返します。かかった回数を、試すたびに棒にためます。2人では、ほとんどが1回か2回で決まり、平均は 1.5回です。8人では、1回で決まるのは9回に1回ほどで、20回以上かかることもあります。平均は 8.6回です。たくさん試すと、試した平均は、計算で出した平均 1/p に近づきます。
| 人数 | 1回で勝負がつく確率 p | 勝負がつくまでの平均 1/p |
|---|---|---|
| 2 | 0.667 | 1.5回 |
| 3 | 0.667 | 1.5回 |
| 5 | 0.370 | 2.7回 |
| 8 | 0.116 | 8.6回 |
| 10 | 0.052 | 19.3回 |
図3で「100回試す」を何度か押すと、棒の形が分かってきます。どの人数でも、いちばん多いのは1回目で決まる場合です。回数が増えるほど棒は低くなりますが、なかなか0になりません。8人では、平均の 8.6回よりずっと多くかかる回が、ときどき出ます。
10人より多いと、平均はもっと速く増えます。式に入れると、30人で1回で勝負がつく確率は約 0.0000156 で、平均は約6万4千回です。クラス全員のじゃんけんで、なかなか決まらないのは、このためです。
負けた人が抜けて続けると、最後の1人まで何回かかるか
ここまでは、勝負が1回つくまでを数えました。勝った人が何人でも、そこで終わりです。1人を決めたいときは、負けた人が抜け、勝った人だけでじゃんけんを続けます。
図4 さわって動かせます
この図は、JavaScript を使って動きます。下の説明でも要点が分かるように書いています。
勝負がつくたびに負けた人が抜け、勝ち残った人だけで続けます。最後の1人が決まるまでにかかった回数を、試すたびに棒にためます。8人では平均 12.1回で、最初に勝負がつくまでの平均 8.6回より多くかかります。勝ち残りが2人以上いると、その人数でまたあいこが続くからです。2人では、1回勝負がつけば1人に決まるので、どちらも 1.5回です。
1回で何人が勝ち残るかは、愛知県総合教育センターの教材にある「n 人のうち k 人が勝つ確率」で決まります。勝つ k 人の選び方が nCk 通り、勝つ手が3通りなので、
P(n, k) = 3 × nCk ÷ 3ⁿ
です(k は 1 から n − 1 まで)。
最後の1人までの平均を E(n) とします。1人なら、もう決まっているので E(1) = 0 です。n 人で1回出すと、次のどれかになります。
- 確率 1 − p であいこ:また n 人で続ける
- 確率 P(n, k) で k 人が勝ち残る:k 人で続ける
いま出した1回に、そのあとの平均を足すと、
E(n) = 1 + (1 − p) × E(n) + P(n, 1) × E(1) + P(n, 2) × E(2) + … + P(n, n − 1) × E(n − 1)
です。E(n) を左にまとめると、
E(n) = {1 + P(n, 1) × E(1) + … + P(n, n − 1) × E(n − 1)} ÷ p
になります。小さい人数から順に計算できます。たとえば3人では、1人が勝つ確率も2人が勝つ確率も 1/3 です。E(3) = (1 + 1/3 × 0 + 1/3 × 1.5) ÷ (2/3) = 2.25回です。
この漸化式で編集部が計算した値は、次のとおりです。
| 人数 | 勝負がつくまでの平均 1/p | 最後の1人までの平均 |
|---|---|---|
| 2 | 1.5回 | 1.5回 |
| 3 | 1.5回 | 2.25回 |
| 5 | 2.7回 | 4.49回 |
| 8 | 8.6回 | 12.1回 |
| 10 | 19.3回 | 24.35回 |
3人以上では、最後の1人までの平均は、最初に勝負がつくまでの平均より多くかかります。ただし、10人では、24.35回のうち 19.3回は、10人のまま最初に勝負がつくまでにかかる回数です。時間がかかるのは、大人数のまま、あいこが続いているあいだです。
この図で簡単にしたところ
- 全員が、グー・チョキ・パーを 1/3 ずつの確率で、ほかの人と関係なく出すとしました。実際の人には手のくせがあり、前の回に出した手にも引きずられます。
- 後出しや、出すのが遅れることは考えていません。
- 図3・図4の試行は、ブラウザの疑似乱数(Math.random)で作りました。
- 図1で全部の出し方を並べるのは3人までです。4人以上は、1回ずつ出した例で見せています。
- 図は10人までにしました。11人以上は、本文で数だけ触れています。
- 図4の「最後の1人まで」の平均は、出典の「k 人が勝つ確率」をもとに、編集部が漸化式で計算しました。この漸化式そのものは、出典には載っていません。
出典
- じゃんけんの確率(愛知県総合教育センター):n 人で1回じゃんけんをして勝負がつくのは、出す手がちょうど2種類になるとき。勝負がつく確率は 3C2(2ⁿ−2)/3ⁿ = (2ⁿ−2)/3ⁿ⁻¹。k 人が勝つ確率は 3·nCk/3ⁿ。10人であいこになる確率は 18661/19683(94.8%)。勝負がつくまでの回数の期待値は 1/p で、3人 1.5回・4人 1.93回・5人 2.7回・10人 19.3回
- 高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説 数学編 理数編(文部科学省):数学A「場合の数と確率」で、和の法則・積の法則、確率の基本的な法則、期待値、独立な試行の確率(P(C)=P(A)P(B))を扱う(第2章第4節)
この記事は、うごく図解の AI の編集部が書き、別の AI が出典と照らして確かめました。どう作っているか